「3、2、1…」というカウントダウンの後に、心の準備をする暇もなく空へ向かってビヨーン!と放り出されるあの感覚。海外のYouTuberが投稿している「逆バンジー」の動画を見て、「これ、日本でもやってみたい!」と血が騒いでいるのは私だけではないはずです。通常のバンジージャンプが「落下」の恐怖なら、逆バンジーは「未知の打ち上げ」によるスリル。重力に逆らって空へ吸い込まれるような体験は、一度味わうと病みつきになります。
実は私自身、あの強烈なG(重力加速度)を求めて、北は関東から南は九州まで、日本国内で体験できる施設を徹底的にリサーチして実際に足を運んできました。結論から申し上げますと、残念ながら動画でよく見るゴムで弾かれる球体カプセル型(スリングショット)は、現在日本の遊園地には常設されていません。しかし、だからといってガッカリする必要はありません。日本には、世界に誇る技術で作られた「垂直打ち上げ型マシン」や、最新テクノロジーを駆使した「VR逆バンジー」、さらにはゴム式を超える衝撃の「ブリッジスイング」など、多種多様な選択肢が用意されています。
この記事では、スリルを求める「ガチ勢」から、子供と一緒に楽しみたい「ファミリー層」まで、あなたの目的にピタリとハマる体験スポットを、料金や制限事項と合わせて余すところなくご紹介します。
チェックポイント
1.日本国内で本格的な物理的逆バンジー(スペースショット等)が体験できる全施設リスト
2.なぜ日本の遊園地には海外動画のような「スリングショット」が存在しないのか
3.身長110cmからOK!雨の日でも絶叫できる最新VR逆バンジー情報
4.「4Gの急上昇」vs「VRの没入感」失敗しないためのスリルと料金の完全比較
逆 バンジー どこで できる?日本国内の体験場所を徹底解説
「とにかく身体に強烈なGを感じたい!」「空に向かって打ち上げられたい!」という衝動に駆られたとき、まずチェックすべきは物理的に身体が動くアトラクションです。ここでは、遊園地のタワー型ライドから、自然の中で楽しむエクストリーム系まで、日本国内でリアルな重力体験ができるスポットを厳選して深掘りします。海外のアレとは形状が異なりますが、叫び声が止まらなくなること請け合いです。
逆バンジーの定義と日本に「スリングショット」がない理由
まず最初に、皆さんが探している「逆バンジー」の正体について少し整理しておきましょう。YouTubeやTikTokでバズっている、2本の柱の間に張られたゴムが収縮し、球体のカプセル(イジェクターシート)が空中に弾き飛ばされるアトラクション。あれは専門用語で「スリングショット(Slingshot)」と呼ばれる機種です。シンガポールのクラークキーやアメリカのフロリダなどが有名ですが、2025年現在、日本国内の常設遊園地でこの機種が稼働している場所は一箇所もありません。
「そんなバカな、昔どこかで見た気がする」という方もいるかもしれません。確かに過去には東京ドームシティなどで期間限定イベントとして設置された事例はありましたが、現在は姿を消しています。これには、日本特有の事情が大きく関係しています。
厳しい安全基準とメンテナンスの壁
最大の理由は、日本の建築基準法およびJIS規格(日本産業規格)に基づく安全基準の厳格さです。ゴムやバネを使用する巨大な遊具は、金属パーツに比べて経年劣化の予測が難しく、気温や湿度による張力の変化も激しいため、日本の基準で安全を担保しようとすると、保守点検に莫大なコストと労力がかかってしまうのです。
海外では自己責任の文化が強い国もありますが、日本では万が一の事故も許されないため、より管理しやすく安全性が証明された技術が好まれます。
その結果、日本で「逆バンジー」の代替として定着したのが、米国S&S Sansei Technologies社などが開発した「スペースショット」です。これはゴムではなく、タワー中央のシリンダーに溜めた圧縮空気を一気に開放して座席を押し上げる仕組み。金属疲労やケーブルの管理が体系化されており、極めて高い安全性を誇りながら、ゴムで弾かれるのと同等以上の「打ち上げ感」を再現しています。
(出典:S&S Sansei Technologies 公式サイト)
物理的なG体験ができる関東の逆バンジー よみうりランド 花やしき
関東エリアにお住まいの方が、週末にサクッと「空へ打ち上げられに」行くなら、以下の2つの施設が間違いありません。
よみうりランド「クレージーヒュー」

東京都稲城市にある「よみうりランド」。ここの「クレージーヒュー」は、個人的に国内で最もコストパフォーマンスが高い逆バンジー体験だと思っています。高さ約60m、ビルで言えば20階相当の高さまで一気に上昇するのですが、その際の重力加速度は約4Gに達します。戦闘機のパイロットが体験するGに近い圧力が、一瞬にして身体にかかるのです。
黄色いタワーが目印のこのマシン、最大の特徴は「演出のニクイなさ」です。通常の絶叫マシンなら「3、2、1」とカウントダウンがありますが、クレージーヒューは時折、心の準備ができていないタイミングで唐突に発射されたり、一度フェイントで少しだけ上がってから急発進したりします。頂上付近ではマイナスG(エアタイム)によってお尻が座席から浮き上がり、新宿副都心のビル群や、天気が良ければ富士山まで見渡せる絶景が広がりますが、優雅に景色を楽しむ余裕はまずありません。
浅草花やしき「スペースショット」
もう少し観光気分で楽しみたいなら、日本最古の遊園地「浅草花やしき」にある「スペースショット」がおすすめです。ここはスペック上の高さや速さ以上に、「視覚的な文脈」が異常です。
発射台となるのは、民家や商店街がひしめく下町のど真ん中。打ち上げられた瞬間に視界に飛び込んでくるのは、歴史ある浅草寺の五重塔の本堂と、近代的な東京スカイツリーのツーショットです。「江戸の情緒」と「最新のタワー」を、空中に放り出されながら同時に眺めるという体験は、世界中探してもここでしかできません。
花やしきのスペースショットは身長130cmから利用可能です。浅草デートの合間に、「ちょっと叫んでいく?」くらいの軽いノリで乗れる手軽さが最大の魅力です。
西日本で最も本格的な逆バンジー体験は ナガシマ
「高さ60mじゃ物足りない」「もっと魂が抜けるような体験がしたい」という強者には、三重県桑名市にある「ナガシマスパーランド」一択です。ここは「東の富士急、西のナガシマ」と称される絶叫マシンの聖地。設置されている「スペースショット」も、国内最大級のスペックを誇ります。
高さは圧巻の約75m。よみうりランドよりもさらに15m高く、見上げると首が痛くなるほどの威圧感があります。さらにナガシマの特徴は、このスペースショットを含めた3本の巨大タワー(スペースショット2基+ドロップタワー1基)が並び立っていること。カウントダウンと共に3機が連動して動く様は、外から見ているだけでも迫力満点です。
立地は伊勢湾に面しており、海からの強風を感じながら大空へ放り出されます。頂点に達したときの開放感は凄まじく、天気が良ければ知多半島まで見渡せます。関西圏や東海圏からのアクセスも良好で、絶叫マシン好きなら一度は訪れるべき聖地と言えるでしょう。
衝撃のスリル!大阪の「スイング」は逆バンジーを超える グラビテート
もしあなたが、「遊園地の安全バーに守られたスリルでは満足できない」「もっと生身の、本能に訴えかける恐怖が欲しい」と感じているなら、大阪府茨木市の安威川ダム周辺にある「グラビテート大阪(GRAVITATE OSAKA)」へ向かってください。ここにある「ブリッジスイング」は、ある意味で逆バンジーの概念を超越しています。
これは、巨大な吊り橋の上からロープ一本で飛び降り、振り子の原理でスイングするアクティビティです。「飛び降りるなら普通のバンジーと同じでは?」と思うかもしれませんが、ブリッジスイングの真骨頂は落下後の「急上昇」にあります。最下点を通過した後、猛烈なスピードで対岸の空へ向かって放り出される感覚は、まさに逆バンジーそのもの。しかも、機械の力ではなく重力と遠心力だけを使った生々しい加速感が味わえます。
2025年からの料金改定でお得に
以前は少し高額なイメージがありましたが、2025年の改定により、アクティビティ参加者は「吊橋通行料(入場料)」が実質無料になりました。さらに、バンジージャンプとスイングの両方を楽しむ「コンボセット」なども充実しており、挑戦へのハードルが下がっています。
ここは遊園地ではなく、本格的な「重力公園」です。安全管理は徹底されていますが、参加には誓約書の署名が必要で、飲酒後の利用などは厳禁です。遊び半分ではなく、真剣にスリルと向き合う覚悟が必要です。
逆バンジーの値段は600円から12,000円まで幅がある
体験場所によって、料金には天と地ほどの差があります。「話題作りにとりあえず一回」なのか、「一生の思い出として奮発する」のか、目的に合わせて選んでください。
※料金情報は2025年12月時点のものです。季節ごとのキャンペーンや割引制度(親子割など)が実施されている場合もあるため、予約前に必ず公式サイトをチェックしましょう。
子供や雨の日でも逆 バンジー どこで できるか?VR施設を解説
「物理的に飛ばされるのはやっぱり怖い…」「身長が足りなくて子供が乗れない」という悩みをお持ちの方に朗報です。近年、VR(仮想現実)技術と可動式シートを組み合わせた「VR逆バンジー」が急増しています。これらは天候に左右されず、物理的な危険性をゼロにしながら、映像ならではの宇宙規模の演出を楽しめるのが最大のメリットです。

身長制限110cmからOK!子供と楽しめるVR逆バンジー
物理的なスペースショット(よみうりランドやナガシマなど)の多くは、安全確保のために身長制限を「130cm以上」に設定しています。これは平均すると小学校3〜4年生くらいの身長なので、低学年や幼稚園のお子様は指をくわえて見ているしかありませんでした。
しかし、VRアトラクションの多くは「身長110cm以上」や「7歳以上」から利用可能です。この20cmの差は非常に大きく、小学校1年生くらいからチャレンジできる計算になります。「子供に絶叫マシンの楽しさを教えたいけれど、いきなり高いところはトラウマになりそう…」という親御さんにとって、VRは最適な「絶叫デビュー戦」の舞台となるでしょう。
東京でアクセス抜群!東京タワーのVR逆バンジー
東京タワーの足元、フットタウン内にあるeスポーツパーク「RED° TOKYO TOWER」。ここにある「ウルトラ逆バンジー」は、都心で最も手軽に体験できるVRスポットです。
専用のVRゴーグルを装着し、MX4D®のような可動式シートに座ると、目の前には東京の街並みが広がります。スタートと同時に座席が激しく振動し、映像の中では東京タワーを遥かに超え、雲を突き抜け、最終的には宇宙空間まで打ち上げられます。風やミストなどの4D演出も相まって、視覚的な没入感はかなりのもの。買い物や観光の合間に、私服のままサクッと体験できるアクセスの良さも魅力です。
九州や関西のVR逆バンジー施設 ハウステンボス ポルトヨーロッパ
西日本エリアにも、わざわざ足を運ぶ価値のあるVR施設があります。
ハウステンボス(長崎)「VRワールド」
長崎県のハウステンボスにある「ウルトラ逆バンジー」は、体験の質が一段高いです。単に映像を見るだけでなく、プレショー(事前の演出)を含めたストーリー作りがしっかりしており、所要時間も長めに設定されています。都会から宇宙へ飛び出す映像美は圧巻で、テーマパークならではの非日常感を味わえます。
和歌山マリーナシティ「ポルトヨーロッパ」
関西エリアなら、和歌山マリーナシティ内のポルトヨーロッパへ。ここにも同様のVRアトラクションがあり、パスポート利用が可能などリーズナブルに楽しめます。海に囲まれたリゾート地というロケーションも素晴らしく、VR体験の後に本物の海風に当たるのも乙なものです。
体重制限や年齢制限など逆バンジーの利用条件一覧
「せっかく現地に行ったのに、制限に引っかかって乗れなかった!」という悲劇を防ぐため、物理ライドとVR、そしてアクティビティ系の主な利用制限を比較表にまとめました。特に注意すべきは体重制限です。
| 項目 | 物理(スペースショット等) | VRアトラクション | ブリッジスイング |
|---|---|---|---|
| 身長制限 | 多くは130cm以上 | 110cm以上が多い | 140cm以上 |
| 年齢制限 | 小学生以上〜64歳以下など(高齢者の利用不可が多い) | 7歳以上など(比較的緩やか) | 13歳以上(中学生以上) |
| 体重制限 | 特になし(安全バーが締まればOK) | 特になし | 40kg以上〜100kg前後(非常に厳格) |
| 健康状態 | 妊娠中・心疾患・首背中の異常時は不可 | 乗り物酔いしやすい方は注意 | 飲酒厳禁・持病の申告必須 |
グラビテート大阪のようなアウトドア系アクティビティでは、ハーネスやロープの安全規格上、体重制限(特に下限40kg)が非常にシビアです。「40kgちょうど」などギリギリの場合は、着衣量で調整が必要になることもあるため、事前に必ず問い合わせましょう。
逆バンジーは怖い?Gフォースやスリルレベルの比較

「興味はあるけど、気絶したりしないか心配…」という方のために、私の実体験に基づいた「怖さレベル」を判定します。心の準備にお役立てください。
レベル1:VR逆バンジー(RED°、ハウステンボス等)
視覚的な怖さはありますが、「自分は安全な椅子に座っている」という安心感が根底にあります。浮遊感(内臓が浮く感じ)は映像と連動したシートの動きで擬似的に作られていますが、物理ライドほどの強烈さはありません。絶叫マシンが苦手な人でも楽しめるエンターテインメントです。
レベル3:物理スペースショット(よみうりランド等)
発射の瞬間にかかる4Gの圧力は本物です。身体がシートに押し付けられ、息が詰まるような感覚があります。頂点でのマイナスG(ふわっと感)も明確に感じますが、体験時間が数秒〜数十秒と非常に短いため、「怖い!」と叫んでいる間に終わります。恐怖が持続しない分、爽快感が勝ります。
レベル5:ブリッジスイング(グラビテート大阪)
これは別格です。機械に身を任せるのではなく、自分の意思で橋から飛び出さなければならないという心理的ハードルが段違いです。さらに、スイング中の滞空時間が長く、風切り音や景色の流れるスピードもリアル(というか現実)。人生観が変わるほどの衝撃を求めるなら、迷わずこれを選んでください。
最高の逆 バンジー どこで できるかは目的次第で変わる
今回は「逆 バンジー どこで できる」という疑問に対して、日本国内で体験可能な主要スポットを網羅的にご紹介しました。最後にまとめると、あなたの「叶えたい体験」によってベストな選択肢は変わります。
- とにかく安く、手軽に強烈なGを感じたい:東京のよみうりランドや浅草花やしきがベスト。
- 日本一の高さと圧倒的なスケールを重視:三重のナガシマスパーランドへGO。
- 子供連れや雨の日、まずは手始めに:RED° TOKYO TOWERやハウステンボスのVR逆バンジー。
- 人生を変えるほどの恐怖と達成感が欲しい:大阪のグラビテート大阪でブリッジスイングに挑戦。
日本には海外のような「スリングショット」こそありませんが、それに勝るとも劣らないエキサイティングな体験があなたを待っています。今度の休日は、日常のストレスを全部空へ吹き飛ばしに、逆バンジー体験へ出かけてみてはいかがでしょうか?
※本記事の情報は執筆時点(2025年12月)のものです。各施設の営業状況、料金、利用制限は予告なく変更になる可能性があります。お出かけ前には必ず各公式サイト等で最新情報をご確認ください。